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2013 Australia Youth Olympic Festival
Cycling Track
(
(H25/01/17-20 オーストラリア・シドニー)
ジュニア強化育成部会支援スタッフ 班目真紀夫

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チーム・パーシュート

チーム・スプリント(修正版)

スクラッチ

女子オムニアム(スクラッチ)

ケイリン(野上選手)

ケイリン(久保田選手)

ケイリン(瀧本選手)

ケイリン(敗者復活戦)

ケイリン(準決勝/野上)

ケイリン(準決勝/久保田)

ケイリン(7-12位/久保田)

ケイリン(決勝/野上)
【お詫び】チーム・スプリントの画像が間違って掲載されていました。修正いたしましたので再度掲載します。関係の皆さまにご迷惑をおかけしました。

■2013/01/14(Mon)

シドニーへ向けて出発の日、修善寺ベロドロームで最終準備を行い11:00には、成田空港へバスで向かった。

当日は、朝から激しい雨が降っていたが19:50発のシドニー行きの便には間に合うだろうと誰もが思っていた。

昼頃から急激に天候が悪化、みぞれ混じりの激しい雪のため高速道路では、渋滞が既に発生していた。通常なら約3~4時間もあれば到着できる道のりも全く進まず、23:00に新横浜まで到着するのが精一杯だった。

おまけに、高速のパーキングで移動バスがトラックに接触されるというハプニングまで発生した。合宿での状態も良い感じで仕上がっていたため、何とかして大会には出場させてあげたい!という思いが強く残った1日であった。

■2013/01/15(Tue)

気を取り直して、新横浜を9:00に出て成田空港へ向かった。

渡航予定と同じ経路の直行便でシドニー入りする予定であったが、満席であったため別ルート(仁川→オークランド→シドニー)となり、成田到着1時間後の便でのシドニー行きとなった。

直行便の4倍以上の時間を費やし、なんとか大会前日にはシドニー入りできる運びとなった。

■2013/01/16(Wed)

最後のフライトとなるオークランド→シドニー便は短距離組と中距離組に分かれての移動となり、17:00に全員が念願のシドニー入り!

マネージャーミーティングやオープニングセレモニーなどは諸般の事情でキャンセルであったが、ベロドロームの確認や自転車の組立、中距離組だけではあったがローラーに乗り汗を流すことができた。

夕食後、レース前夜のミーティングを行い明日からのレースに備えた。

■2013/01/17(Thu)

大会1日目は、団体種目がおこなわれた。

オリンピックや世界選手権でもそうであるように、初日に団体種目の予選・決勝というのが世界の流れであり、この大会においてもそれに準ずるスケジュールでレースが組まれていた。

昨年10月に発足された新チームにおいて、選手・スタッフ共に、この日行われる団体種目をメインにひたすらトレーニングの強化・育成に努めてきた。4kmチームパーシュートにおいては、合宿での仕上がりや季節的なもの、さらには今回の移動なども踏まえ4分20秒前後のタイムを予測していた。

レースギアについては、50×14を事前合宿の段階から選択し、それに向けたトレーニングプログラムを組み様々な取り組みをしてきた。

予選は単独発送2組目であった。

前半は、落ち着いて入ること、2走が上げすぎず3走がペースを作ること、そのペースを一定に保つことを確認しレースに臨んだ([1]鈴木康平・[2]岡本隼・[3]森口寛巳・[4]原井博斗)。

予選は、事前合宿において繰り返しおこなってきたことを出せる走りであり、もっと高いレベルでの走りを大いに感じさせてくれた。

4チームの参加ではあったが、1位オーストラリアゴールド4分17秒395、2位オーストラリアグリーン4分20秒441、3位日本4分20秒670、4位マレーシア4分28秒250であり目標としていたタイムまで到達することができた。

コンマ差で1・2位決定戦進出を逃したのは悔しかったが、約1時間後の3・4位決定戦に向けてそれぞれ修正、より良い走りを追求し決定戦に臨んだ。

途中マレーシアチームの落車等あったが冷静に対応し自分たちの走りを最後まですることができた。記録はチームベストである4分19秒028、4チーム参加のブロンズメダルではあったが、選手はもちろんのこと我々スタッフにとっても価値のあるメダルとなった。

チームスプリントは、滝本・久保田・野上の番手(ギア49、50×14)。事前合宿では、ルールの変更に伴う走行の改善(※スタート・ゴール15m手前での差込禁止)やトップスピードの強化など徹底して取り組んだ。伊豆では48秒台中盤のタイムが出ていたので疲労が抜けて集中できれば、47秒台というタイムを目指しレースに臨んだ。

6チームの参加で、1位オーストラリアゴールド46秒607、2位ニュージーランド47秒104、3位オーストラリアグリーン47秒577、4位マレーシア48秒342、5位日本48秒373であり目標としていたタイムまで到達することはできなかったが、チームベストを更新することができた。

4位マレーシアとコンマ差だったことがとても悔やまれる結果となった。

ここ一番の集中力を要するチームスプリント。移動に伴う精神的な疲労や様々な要因が重なりチームとしてうまく噛み合わない部分が多くあった。

今回の結果を踏まえ、それぞれが自己を見直しチームとして何が大切なのか?ということを考えさせられるレースとなった



■2013/01/18(Fri)

大会2日目は、前日の予報で気温が39度になることが予測されていたため午前中の公式練習がキャンセルになった(室内競技場で行われているため熱中症などに対する配慮であるらしい)。実際に外の日差しは強く、ベロドローム内の室温も30度を超え体力を奪われるような暑さであった。

オムニアムに岡本・森口・原井、ケイリンに久保田・滝本・野上、女子スクラッチに元砂が出場した。前日のミーティングでは、選手にレース展開を自分で考えること求め、それに対してコーチからアドバイスを受けレースに臨んだ。

オムニアム初日は、[1]フライングラップ・[2]ポイントレース・[3]エリミネーションの3種目。

フライングラップでは森口が13秒808で3位、岡本が13秒925で6位、原井が14秒430で14位であった。

ポイントレースでは、あえてチームとしての作戦は与えず、それぞれの脚質にあった走りをするように指示し、レースに臨んだ。

序盤に岡本や森口が展開に応じ飛び出したりはしたものの決定的な差は、付けることができずレースが進んだ後半残り20周前後から原井が集団を飛び出すことに成功、ニュージーランドの選手と2人で協力し最後まで逃げ切ることができた(原井1位・岡本7位・森口13位)。

エリミネーションは、3名とも公式なレース経験は初めてであった(原井は練習で経験有り)。

レース展開に対する攻略法を中田監督から伝授されレースに臨んだ。

森口・岡本が中盤、イン側に詰まり脚を残しながらエリミネイトされた。原井は巧みなレースを展開し最終まで残ったが、ラスト周回にかわされ惜しくも2位という結果だった。

ケイリンに参加した3名は、外国選手の横の動きや250m走路でのレース展開などに苦しめられイメージ通りのレース展開にならず全員が予選敗退し敗者復活戦まわりとなった。

「もう少し早めに動いていたら」・「前の選手との車間を開けずに追走できていたら」とか、仕掛けどころとタイミングさえ合えば対等に戦える手応えはつかめたようだった。

野上・久保田の2名が敗者復活戦を勝ち上がり準決勝に進んだ。

準決勝において得意の先行に持ち込んだ野上が決勝進出、久保田はスタートで良い位置を取れたが最終コーナーで他の選手との接触もあり準決勝敗退、7−12位決定戦に進み最終順位は8位となった。

決勝では、野上が得意とする展開に持ち込もうとするが外国勢に阻まれ外を踏み続けての4位という結果だった。

女子スクラッチに出場した元砂は、レース後半に2名で集団を飛び出すが吸収され7位という結果だった







■2013/01/19(Sat)
大会3日目は、男子オムニアム2日目(岡本・森口・原井)・スプリント(久保田・滝本・野上)・女子オムニアム(元砂)に出場した。

オムニアム2日目は[1]3KMIP・[2]スクラッチ・[3]1KMTTの3種目。

3KMIPでは、全員が自己記録を5秒近く更新しベストな走りではあったが、タイムトライアルにおいて上位に入ることは出来なかった(森口3分31秒816、岡本3分32秒516、原井3分32秒848)。

スクラッチでは、岡本と森口がゴール勝負狙い、原井が中盤以降に逃げることを目標にレースに臨んだ。

序盤からハイペース(途中、1kmのラップタイムが1分6秒前後)の展開が続き集団がひとかたまりのまま終盤を迎えた。原井が飛び出すがすぐに吸収され、ゴール勝負の展開になった。

日本チームは集団前方でラストを迎えたがスパートをかけるタイミングや内に詰まるなどあったが、ゴール勝負狙いの森口が2位、岡本7位、原井8位であった。

1KMTTでは、岡本が1分7秒746、原井が1分8秒195、森口が1分8秒442で全6種目を無事に終了した。

総合では原井が5位・岡本が8位・森口が9位であった。最後まで集中してレースに臨めたこと、外国勢に対しても臆することなく積極的にレースを展開できたことは、今後の走りに期待が持てる結果となった。

スプリント予選は、16名が参加、野上が10秒978、久保田が11秒331、滝本が11秒375であった。1本勝負の1/8では、全員が外国勢のパワー・テクニックに圧倒され自分の得意とする形にすることができず、予選敗退となった。

女子オムニアム初日(元砂)、[1]フライングラップは15秒860で7位だった。

[2]ポイントレースでは、中盤にタイミングよく飛び出すことに成功し1位通過、合計7点で4位という結果だった。

[3]エリミネーションは、内に詰まり行き場を失う展開になってしまい6位という結果だった。

ポイント・エリミネーションにおいては、良い位置なのにそこからもう少し!というケースが見られた。

今後の課題として、これらのことを改善できれば更に成長できるのではないかという走りであった







■2013/01/20(Sun)

大会4日目は、男子スクラッチ(岡本・原井・鈴木)、女子オムニアム(元砂)が出場した。

スクラッチでの戦術は、岡本がゴール勝負狙い、鈴木・原井が逃げに乗ることを確認しレースに臨んだ(※ギア…岡本50×14・原井52×15・鈴木53×15)。

作戦通り、鈴木が前半から単独で集団を飛び出すが泳がされているような状況でレースは始まった。

日本でのスクラッチとは違い、常に1列棒状の状態が続きレースは中盤を迎えた。縦長だった集団が緩んだ隙を見て、原井がタイミングよく飛び出すも集団がすぐに反応、数周回逃げるが吸収されてしまう。

ラスト5周を切り集団のままゴールへと向かうがオーストラリアの選手がタイミングよく1人で飛び出すことに成功する。

残り2周、鈴木が落車を避けきれずに1コーナーで乗り上げ落車リタイアとなる。

またラスト3周あたりから集団前方4番手付近を確保し、ゴールへと向かう岡本が最終3コーナーで集団先頭のニュージーランド同士の競りあいによる落車に巻き込まれてしまう。

ゴールに向けての位置取りが良く、そのままゴールできていれば表彰台の可能性は大いにあったので本人はもちろん、我々スタッフにとっても残念な結果に終わった。完走は原井のみで5位であった。

怪我も大事には至らず擦過傷程度で済んだことは、幸いであった。

女子オムニアム2日目は[1]2KMIP・[2]スクラッチ・[3]500MTTの3種目。

2KMIPは2分37秒317で7位だった。スクラッチでは、レース終盤の位置取りで、スプリント力のある選手の後ろを確保、そのまま最終を迎え2位という結果だった。

500MTTは、39秒531で自己ベストを更新、昨日の反省を生かしレースに臨んでいる姿が印象的であった。

競技が終了し梱包・積込など慌ただしくなるかと思ったが、疲れているにもかかわらず、選手達が手際よく動いてくれたお陰で、短時間で片付いてしまった。

競技以外の部分においても、選手間、そして選手とスタッフ間のコミュニケーションがうまく成長していることが伺えた。





■2013/01/21(Mon)

帰国の日、5:15にマーキュリー大学の選手村を出発し空港に向かう。手際よく荷物の積み下ろし搭乗手続きを済ませ、シドニー(9:00)→仁川空港→関西国際空港(20:50)の空路で帰国の途についた。往路とは違って、何事もなく全員無事に帰国し関西空港で解団式を行った。

今回の遠征を振り返って、海外レースの経験を多く積むことが日本人選手には必要だと思われがちだが,トレーニング中に勝負にならないと思えるレベルの選手は海外レースに参加しても勝負にならないし、多くの経験を得ることはできない。

今回、競争系種目ではどの選手も“勝負できるレベル”であったと思うが、個人のタイムトライアル系種目に関しては“全く勝負にならないレベル”であった。

当たり前のことではあるがトレーニングで出来ないことは、本番で出来ないし、それ以上もないということ。

また、精神面でのタフさや私生活、普段の言動など、それらすべてが競技結果に直結していることが伺えた。

トレーニングと並行して、“シンプルに当たり前のことをしっかりできる人間形成”の大切さを改めて認識できた。

今後も日本人らくし、日本の教育・モラルを軸としてジュニア選手たちを強化育成していきたい。

今回参加した選手、強化指定を受けている選手たちには8月のジュニアトラック世界選手権大会に向けて、ナショナルジュニアチームの一員として更なるプライドと自信を持って、レース・トレーニング・私生活と充実した時間を過ごしてもらいたいと思う。